空中モニュメント「伝説起源」
Principio della Legenda(1996)
REBORN
― モニュメントの再生 ―
岡山県マービーふれあいセンター
豪雨災害復旧に伴う
モニュメントの再設置工事です。
西日本豪雨災害
2018 年7月14府県で200人以上が亡くなった西日本豪雨 大規模浸水が発生し岡山県倉敷市真備町地区では、 堤防8カ所が決壊しマービーふれあいセンターも多大な 被害を受けた。浸水は高さ約 3.5 メートルに達し、2021年6月の再開まで約 3 年間休館となりました。
浸水は二階に迫る 勢いだった事が 写真から解る。
破線 浸水エリア
モニュメントは吊り型で幸い大きな被害は無かったがリニューアルに伴い 20 年以上の垢を取り施設と共に美しく 再生する事が求められました。
空中モニュメント「伝説起源」Principio della Legenda
作者:高橋秀 1996 年
サイズ:520 x 400 x 330 cm
材質:ステンレス・メッシュ、布オーナメント
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REBORN 1
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1996年の手書き図面、最終の詳細は建築工事での変更が重なり 本当のおさまりが分からず、再調査が必要であった。 過去写真や関係者聞き取り、現在の基準に合うよう再設計を行った。
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REBORN 2
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現地調査
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災害から時間が経つが匂い・埃が有る
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天井解体に伴いモニュメント取外し
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布製オーナメントは色褪せ劣化が進んでいる。
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REBORN 3
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解体工事
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足場を掛け解体スタート
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モニュメントを地上へ
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布オーナメントが劣化・作者と協議し新調する事となった
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REBORN 4
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再設置に向けて
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新調した布オーナメントの確認
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吊元新規金物に変更
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吊り金物を美装し再取付
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REBORN 5
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再設置
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美装・組立て
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モニュメント組立て
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モニュメント吊り込み
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REBORN
before
after
モニュメント再生
モニュメントが地域の良い象徴で有り続ける為に
私たちは寄添い考え続けます
昨今、全国で様々な災害が起こり未曾有の事ばかりで対応が非常に難しい。又、公共施設の老朽化やリニューアル 工事に伴うモニュメントの移設や再設置等のお話を多く頂いています。
行政や所有者・作者の意向を汲取り、建築業者と打合せをし計画を進めて行く上で、設置方法を現代の安全基準に沿う方法を 再検討する事も大切な作業です。
モニュメントが地域の良い象徴で有り続ける為に私たちは寄添い考え続けます。
今回の倉敷市真備町にあるマービーふれあいセンターは、地域の文化拠点となり長年、多くの方に利用される施設でした。 装いを新たに、文化芸術の中心として地域の方々に末永く愛される空間となることでしょう。
微力ながらプロジェクトの一端を担う事ができとても光栄です。
モニュメント概要
施主:倉敷市
設計 製作 設置:(株)北海鉄工所
材質:ステンレス・メッシュ(SUS304)+ 布オーナメント
サイズ:5200 x 4000 x 3300㎜
作家紹介
高橋秀(1930ー )
文化功労者、美術作家、倉敷芸術科学大学名誉教授
- 1930年
- 広島県芦品郡新市町(現福山市)生まれ 1961年 第5回安井賞を受賞する
- 1963年
- イタリア政府招聘留学生としてイタリア・ローマに渡る
- 1978年
- 池田満寿夫監督の映画「エーゲ海に捧ぐ」の美術監督を担当する
- 1996年
- 倉敷芸術科学大学芸術学部教授となる
- 2004年
- 41年間のローマ暮らしを引き上げ、倉敷・沙美海岸に住まいを移す
- 2006年
- 若い芸術家を海外に遊学させるために「秀桜基金留学賞」
(全10回)を設立し公募、授賞する - 2020年
- 文化功労者に選定される
- 2021年
- イタリア政府よりイタリアの星勲章コンメンダトーレ賞を叙勲
その他
芸術選奨文部大臣賞(1987年)、日本芸術大賞(1988年)
紫綬褒章(1994年)、岡山県文化賞(2010年)、倉敷市文化章(2012年)など受賞多数。
作品、モニュメントなどは世界各地の美術館、公共施設などに収蔵、設置。
写真提供:倉敷市
秀 art studio